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FARMERS

生産者紹介
めぐみの里
八女市

みんなを巻き込んで安全な食べものの流通を

福岡県八女郡広川町で、40年以上にわたって農薬を使わずに野菜を作り続けている生産者グループ「めぐみの里」。代表を務めるのは、無農薬栽培の第一人者・高鍋健一さん。「環境は一人の問題ではないから、みんなを巻き込んでいかないといけない」と語る高鍋さんのもとに、志を同じくする生産者が集まった。グループのメンバーが増えれば農薬を使う人が減る、と考えて活動しているといつしか大所帯のグループになっていた。

グループの基本方針は、無農薬による野菜栽培。しかし、高鍋さんは「全滅のリスクがある時には、必要最低限の農薬を使用することもある」と話す。

「こだわるあまり収穫がゼロになれば、農業を続けられなくなる。有機農業を持続させるには、柔軟な判断も必要です」と、生産現場が抱える現実を率直に語る。

 

そのうえで、「こうした事情を消費者にきちんと伝えることが、信頼関係の構築につながる」と強調。生産者の姿勢と苦労を理解してもらうことで、有機農業を支える社会の土壌を育てたいと願っている。

そして「野菜を買ってくれる方々は、ただの消費者ではなく、環境を守る協力者だということをもっと知ってほしい」と高鍋さんは語る。

生産者と消費者が理解し合い、支え合う関係を築くことが、地域の農業、ひいては地球環境を守る力になるという考えだ。

 

「めぐみの里」は、農業を通じて環境保全と地域の持続可能な未来を目指し、これからも歩みを進めていく。

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松の実ファーム
福岡市

自然循環の範囲内で野菜をつくる

福岡県西端部、糸島市から福岡市西区にかけて広がる畑で、農薬や化学肥料を一切使わず、有機資材のみで野菜作りに取り組む生産者がいる。松の実ファームの代表・松尾太一さん。

 

松尾さんが農業を志したのは2008年。以来、荒れ果てた耕作放棄地に手を入れ、再生利用しながら命の循環を感じる農業に力を注いできた。

 

現在松尾さんが手がける畑の一部は、かつて人の手が離れた耕作放棄地だった。雑草が生い茂り、水路も塞がれた土地を少しずつ整備。使える施設は再利用しながら、農地としての命を吹き返させた。

2015年には「有機JAS認証」を取得し、2022年には法人化。環境に配慮した生産体制の強化にも取り組んでいる。

 

「農薬や化学肥料は自然界には存在しない人工物。長期的に人や自然にどんな影響があるか、人間の寿命では確かめきれません」と松尾さん。だからこそ、何千年、何万年と続いてきた自然の循環の中で農業を行うことにこだわる。

 

松の実ファームでは、野菜にかけるのは水だけ。農薬、化学肥料、除草剤は一切使わない。

また、一般農地との境界からは3メートル以上離して栽培を行う「緩衝地帯」を設け、資材は畑周辺の草や木くずを可能な限り活用している。

 

さらに、野菜に含まれる硝酸態窒素を抑えるため、肥料分も必要最低限にとどめる。これにより、安心・安全で、野菜本来のうまみを引き出す栽培を実現している。

 

「より多くの人が安心して食べられる、美味しい野菜を届けたい」――松尾さんはそう語る。

人と自然、そして未来の世代が安心して生きられる環境を守るため、松の実ファームは今日も着実に歩みを進めている。

ブライト農園

糸島市

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できるだけ自然に近い環境での野菜をつくる

2009年春、糸島市で自然農法を1年間学び就農したブライト農園の高井象平さん。

 

今から20年ほど前から多く発生するようになってきた異常気象をきっかけに環境問題について真剣に考えるようになり、ニュースで輸入農産物に対する必要以上の農薬散布が行われていることや、世界に比べて日本では有機農業が広まっていないことを知り、有機農業を始める農家さんがもっと増えていってほしいという思いから有機農業の道を選び今に至ります。

 

現在ブライト農園では、野菜を栽培するにあたって肥料を使用していますが、その量は必要最小限に抑え、できるだけ自然に近い環境での野菜づくりを目指しています。

 

「毎年同じ野菜をつくっても日々新しい発見があり学ぶことが多い」と話す高井さん。「それらを糧にしてもっと安定して収穫できる体制にしていきたい。」と、今後の展望を持たれています。

MURA-FARM

糸島市

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目指すは6次産業化

糸島市の観光名所「白糸の滝」がある山の麓に位置する長糸地区。その長糸地区で農業を営むMURA FARMの大村昌弘さん。大村さんは、東日本大震災をきっかけに人生を見つめ直し、資本主義の世界で生きていくよりもできるだけ自然の原理原則に近い世界で生きていきたいと考えるようになり、サラリーマンを辞め農業を志します。そして有機農法を学び2017年11月に就農します。

 

現在は、パクチーとリーフレタスを通年栽培されていて、植物系の肥料を中心として、まろやかでクセの少ない野菜を目指し日々野菜をつくられています。

「将来的には法人化を目指し、農業をベースに様々な事業を展開していきたい」と語る大村さん。飲食店など6次産業化も視野に入れて日々活動されています。

つばめ農園

糸島市

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野菜と自然が大好きで新規就農した女性生産者

2022年8月、山内朱実さんは就農し「つばめ農園」がスタートしました。

野菜と自然が大好きで、幼いころからいつかは農業をしたいと思い描いていたという山内さんは、幼いころ、父親の友人が無農薬で育てた野菜を発砲スチロールいっぱいに入れ、毎週届けてくれていて、それが農業をしたいと思うきっかけになっているんだと思うと話してくれます。

 

2019年から約3年間、農家さんのもとで修行したものの、まだ就農1年目ということもあり完全にすべての作物を無農薬でそだてることができず、つばめ農園が生き抜くため少量の農薬を使用することもありますが、極力農薬の使用は控え、糸島の恵まれた自然のなかで野菜をのびのびと育て、その野菜が本来もつ美味しさを発揮できる野菜づくりを目指しています。

また、地域内循環を意識して、土づくりに使用する堆肥も糸島のものを使用し、糸島の土に還すことを大切にしています。

 

「口に入れた時“美味しい”と少しだけ幸せを感じられるような、そしてそれが食べてくれた人の健康につながるような、そんな野菜を作り続けたい。できるだけ「自然の力」だけで野菜をつくれる自分なりの農法を確立していきます!」と力強く語ってくれる山内さんです。

いとのしおかぜ農園

糸島市

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食の大切さを実感し就農

いとのしおかぜ農園の玉元さんは2022年4月から農業を開始しました。

農業を始めたきっかけは、「娘さん」だと玉元さんは話します。

「娘が2歳の時に小児癌を患い、余命宣告まで受けました。医療以外にも親として、出来ることはないかと色々と模索しました。最初はタヒボ茶。当時は凄く高価で、続けるのが難しく、人参ジュースや野菜クズを使ったファイトケミカルスープなど、食にこだわりました。 娘はもうすぐ11歳になりますが、普通以上に元気に笑顔で育っています。娘と共に私たち家族の体にも変化が起きました。アレルギー体質、乾燥肌だった私も気が付けば良くなっていました。闘病生活をしているなかで、同じ様に悩まれる人たちが驚くほど多いことを知りました。食の大切さを伝える方法として、農家に興味を持ち始め、頭から離れない日々が続いていました。20年以上サラリーマンをやっていましたが、父も癌を患い糸島に戻ってきました。 そんな時に畑の話をいただき、「これはもう!やるしかない!」 と思い切って脱サラ就農した」と玉元さん。

有機農業は「安全安心」よりも「自然の力、大地の力をいただく」という考え方でされてあるそうで、「有機農業って気軽にできる!」となるように、いかに楽にできるかを考えて、今後は「学校給食を変えていきたい!」と意気込みを聞かせてくれる玉元さんです。

asebiya

唐津市七山

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元サラリーマン、農業の道―有機栽培で広がる未来

令和元年 4 月、加茂健さんは脱サラをして農業の世界に飛び込みました。以前から家業を 継ぐという思いを抱いていましたが、東日本大震災をきっかけに流通の在り方や一次産業 の重要性を再認識。これが就農への決意を後押ししたといいます。 農業を始めた当初は慣行農法に取り組んでいましたが、肥料や農薬の使用に疑問を抱くよ うになっていきます。同じ頃、夫婦で朝倉市の有機栽培農業学校「アグリガーデンスクー ル&アカデミー」に通い、有機農法を学び直します。そこで試食したトマトの美味しさに 衝撃を受け、有機農法の道へと進む決断を下します。その後は、化学農薬を使わず、 BLOF理論に基づいた強く美味しい野菜作りに取り組んでいます。 「美味しい野菜を作るには微量要素の適切な施肥や、土中の微生物の働きを活かすことが 重要です」と語る加茂さんは、生食でも野菜本来の味が感じられる強い野菜の生産を目指 しています。 将来的な展望としては、現在の栽培規模を拡大することに加え、自身が育てた野菜を使っ た食堂やカフェの開業を計画しています。「お客様に直接野菜を味わってもらえる場所を 作りたい」と夢を語るその姿には、農業への強い情熱が滲みます。 加茂さんご夫婦の挑戦は、有機農法がもたらす可能性を広げるとともに、次世代へ向けた 新しい農業の形を示唆しています。

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ブッチャ農園
糸島市

自然の流れのなかで野菜本来の力に任せる

福岡県糸島市長糸の豊かな自然に囲まれた地で、自然の流れに寄り添った農業を実践する「ブッチャ農園」。運営するのは、松永佳子さんとパートナーの仁科光雄さん。松永さんが本格的に農業の道へ踏み出したのは、2021年4月のことだった。

もともと土や草に触れるのが好きだったという松永さん。就農前の3年間は、仕事をしながら週末に畑仕事を手伝い続けていた。昼夜逆転のシフト勤務、長時間労働の日々を過ごすなか、「もっと自然と調和した暮らしがしたい」との思いが次第に強まり、農業の道を選んだ。

 

「土に触れたい、自然の流れに沿った生き方がしたい」という直感が、人生を大きく動かした。

 

農園では、できる限り自然のままに野菜を育てる方針を貫いている。

「慣行栽培の経験はありませんが、農薬や化成肥料を使う方法は、自分たちの考えとは少し違う」と松永さんは語る。必要以上に手を加えず、野菜が本来持つ力を信じる。病気が出た際には、人が薬に頼るように“少しだけ手を貸す”というスタンスだ。

雑草対策も除草剤を使わず、刈り取った草は耕運機やトラクターで土に還していく。

「こだわりすぎず、とらわれすぎず。自然の流れに身を任せ、必要なときにだけ手助けする」。

そんな穏やかな哲学のもとで育まれる野菜たちは、まるで自分の子どものように大切にされている。

 

自然に寄り添いながら、自分たちのペースで農業を続けるブッチャ農園。糸島の風土とともに育つ野菜は、訪れる人々に静かな感動を与えてくれる。

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